給料を取りに行かず殴られた召集兵
どんな伝承か
昭和十五年四月から七月にかけて、名古屋城内にあった名古屋歩兵第六連隊補充隊での体験談。堀端で新兵に大声で号令の練習をさせられ、うっかり「あそこの家はみんな畳がひいてある」と言っただけで古参兵に横ビンタを食らった。給料は一ヵ月六円十八銭で十日ごとに三回に分けて支給されたが、洗濯などで三十分の受け取り時間に間に合わず諦めると、逆に「渡さないと仕事が終わらない」と殴られたという。回答者は東京都在住の佐橋憲次。
原典より
昭和二十年二月十三日に飛行予科練習生として入隊した。—— 現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。