天井の鉤にぶら下がる罰直なまけもの
どんな伝承か
昭和十八年十二月頃の大竹海兵団の兵舎では、釣床(ハンモック)を吊るための鉤が付いた梁が、天井にむき出しでいくつも渡されていた。鉤は指ほどの太さで、そこに手でぶら下がらせる罰直は、動物にちなんで「なまけもの」と呼ばれた。一分間もぶら下がっていると指がしびれて、手が離れて落ちてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸)
『現代民話考 ― 軍隊』は、松谷みよ子が編んだ、軍隊と戦争をめぐる現代の民話の集成である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きによって寄せられた話をもとに、十五年戦争を中心に徴兵検査から新兵のしごき、戦地、虐殺や飢え、敗戦、収容所、戦犯、軍隊生活の怪談までを収める。巻頭に序文「明日の民話のために」と論考「軍隊考」を置き、十三の部に分けた各話の末に話者と回答者の名と在住地を記す。