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雨の番町にうずくまる怪しい女

所在地東京都千代田区
年代伝承(口承)
登場牛奥、雨夜に怪しい者を見た著者の一族
出典耳嚢(みみぶくろ)

どんな伝承か

著者の一族の牛奥氏が若いころ、急用の知らせを受けて、秋の風雨の強い夜に侍一人を連れて番町の馬場の近くを通った。往来も絶えた大雨で、提灯をかばって行くと、道ばたに女のような者がうずくまっていた。合羽のようなものを着て傘も笠もなく、女とも見定めがたい。そのまま行き過ぎ、脇道から来た提灯持ちの足軽の後について引き返したが、もう何も見えない。四方の開けた道で行き場もないはずだった。帰って門を入るころから寒気がし、翌日から瘧を二十日ほど患い、連れの侍も同じく熱病を二十日ほど患ったという。

原典より

門へ入らんとせし頃頻に寒けせしが、翌日より瘧を煩ひ廿日程なやみしが、召連し者も同様寒けして熱病を廿日程煩ひけるとや。—— 耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年))

『耳嚢(みみぶくろ)』は、根岸鎮衛(守信)が勤めの合間に古老や訪ねて来た人から聞いた話を書き留め、佐渡在勤のころからまとめ直して文化六年仲秋に結びを付した随筆である。武家・町人の逸話や奇談に加え、狐・狸・幽霊・妖獣などの怪異、羽蟻や虫歯・ものもらいを治めるまじない、薬の秘法を、一項ずつ題を掲げて記す。この本文は著者の自叙と巻之一から巻之十まで(巻之四を欠く)の抜粋で、巻末に著者の結びと『耳嚢副言』の一部を置く。

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