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諸風散起立の事

所在地東京都中央区
登場根岸鎮衛、大木伝四郎、大坂屋平六、平蔵、す屋弥兵衛、著者、語り手、歯磨・口中薬の商人(口哲の先祖)、諸風散を売り出した生薬屋、狐膏薬の商人、薬種の俵を売った本町三丁目の商人
出典耳嚢(みみぶくろ)

どんな伝承か

大木伝四郎(口哲の祖先)、芭蕉膏薬、宝筆の祖先は同じ播州の出で、江戸の両国でそれぞれ身代を築いた。伝四郎が江戸に出た時の仲間は、大坂屋平六、狐膏薬を商った平蔵、油売りの五十嵐屋で、出世できない者がいれば互いに助け合おうと約束していた。三人は店を構えたが、平六だけは荷担ぎで妻子を養いかね、恨み言を言いに来た。三人は約束を思い出し、金を出し合って上総へ引っ込む生薬屋の株を買い与えた。伝四郎の工夫で本町三丁目のす屋弥兵衛から薬種の掃き集めを安く買い、選り分けて風邪薬を作り、諸風散と名づけて初めて辻々に引札を出した。折しも風邪がはやって大いに売れ、平六は四人の中で一番の身代になったという。

原典より

其頃未引札など申事のなき折から委細に風を治するの訳を認、初て辻くに引札いたし八銭より百銭迄に売けるに、…—— 耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

耳嚢(みみぶくろ)(根岸鎮衛・江戸随筆・怪異・1809年(文化6年))

『耳嚢(みみぶくろ)』は、根岸鎮衛(守信)が勤めの合間に古老や訪ねて来た人から聞いた話を書き留め、佐渡在勤のころからまとめ直して文化六年仲秋に結びを付した随筆である。武家・町人の逸話や奇談に加え、狐・狸・幽霊・妖獣などの怪異、羽蟻や虫歯・ものもらいを治めるまじない、薬の秘法を、一項ずつ題を掲げて記す。この本文は著者の自叙と巻之一から巻之十まで(巻之四を欠く)の抜粋で、巻末に著者の結びと『耳嚢副言』の一部を置く。

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