霊か獣かを叩く音で問う
どんな伝承か
十二時過ぎ、一同は電灯を消して音のするのを待った。三十分ほど何もないので床に就くと、二、三分して入口の戸がかすかに鳴った。明瞭にせよと言うと大きな音がしたので、問答を始めた。そこに居るのは霊か獣か、霊なら七つ獣なら十打てと言えば七つ打つ。男か女かと問えば男を示す八つ、人数を問えば三つ。学校に恨みがあるかと問えば「ない」を示す十を打った。供養をあげてほしければ盛んに五十打てと言うと、盛んに五十打った。明日必ず僧を迎えて供養すると告げ、承知なら百打てと言うと、非常に盛んな音で百回打ったという。
原典より
十二時過に及び一同は電燈を消して音のするを待つこと約三十分許りなりしが、更に音せ……。—— 幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年))
『幽霊は語る』は、梶天真が昭和十三年に編んだ幽霊譚と幽霊論の集成である。葬送の習俗や海外の霊魂観から説く幽霊思想、幻覚や網膜の作用による幽霊の説明、乃木大将や許斐大尉の見た幽霊などの実話、古典や伝説に現れる男女の幽霊・怨霊・生霊、幽霊写真、化物屋敷、霊界通信を集める。三篇に分かれ、第二篇は幽霊を男女・怨霊・生霊・小児の見た幽霊・食物に縁ある幽霊・前知らせなど八項に分類し、巻末を夕張と筑前の幽霊問答で結ぶ。