六条橋にともる狐火
どんな伝承か
四国には弘法大師が狐を封じたという言い伝えがあり、狐にまつわる伝説は無いとされてきた。ところが板野郡上板町の六条から吉野川を対岸へ渡る仮橋、六条橋には、夜にときどき点々と怪しい火がともり、土地の人は六条橋の狐火と呼んで恐れた。北岸の橋のたもとは竹やぶの寂しい場所で、そのうえ怪火まで出るので、人々はわざわざ二キロほど上流の不便な高瀬の渡しまで回り道をしたという。狐火か狸火か区別はつかず、ただ狐火と呼んでいたのかもしれないという。
原典より
ところが、夜など、ときにこの橋に点々と怪火がともることがある。—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。