鞠を蹴った者
どんな伝承か
父を探して旅する広成は、増水で足止めされた宿駅に泊まっていた。夜、川べりを歩いていると、月明かりの下で三人の男たちが鞠を蹴り遊んでいるのに出くわす。何気なく飛んできた鞠を蹴り返すと、それは魚の浮き袋のようになまなましく気味の悪い感触だった。怒った男たちの中に、行方知れずだった父・広足の姿を見つけた広成は驚くが、父は「早く逃げよ、これはこの川に棲む魔物じゃ」と告げる。広成は刀を抜いて男たちに斬りつけ、父子はどうにか難を逃れたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・明治~大正時代(編纂・出版は20世紀前半推定))
宝蔵の短刀=怨霊と祟り(日本の怪談)/幽霊の自筆・船頭の霊/義人の姿と因果応報/土佐・各地の怪異/田中貢太郎の怪談