酒代の帳面だけが残る秋葉大権現祭礼
どんな伝承か
遠江浜名郡の浅羽村では、慶応三年の八月吉日に「秋葉大権現祭礼」が営まれたらしい。村に残る「秋葉山村入用之当座帳」には、この祭で使った酒の代金の支払いが書き留められている。東海地方の御札降りでは伊勢の札より秋葉の札のほうが多く、秋葉札が降った土地では、秋葉大権現を祀るか、秋葉山へ参詣するか、村内の秋葉常夜燈の前で祭を催すのが常であった。伊勢札が多い地方でも最初の一枚が秋葉札だったり、秋葉社や常夜燈が祭りの場になったりする例が目立つ。浅羽村の祭礼もその型のひとつである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。