御船千鶴子の常陸丸透視
どんな伝承か
御船千鶴子の透視能力は義兄・清原猛雄の催眠術によって誘導された。清原は明治三十六年から熊本市で催眠術を研究していた。日露戦争で常陸丸が撃沈された当時、清原は千鶴子に催眠を施し、同船に熊本の第六師団の兵士が乗っているかを透視させた。彼女は「兵士は一旦長崎を出発したが途中で故障して引き返し、常陸丸には乗っていない」と答えた。三日後、第六師団の出征兵士から熊本の家族へ届いた通信は、この透視と符合していた。明治四十一年七月、深呼吸で無我になれば万物が見えると勧められて練習した千鶴子は、ある朝、庭の梅樹の幹に長さ二分ほどの虫が数匹いると言い張り、樹皮を剥ぐと果たして虫がいた。この二件で透視能力が実証されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。