千鶴子・梅樹の虫透視
どんな伝承か
明治四十一年七月、義兄・清原猛雄は御船千鶴子に、催眠術によらず深呼吸を行って無我の状態に入れば万物ことごとく透視できると説き、深呼吸を勧めた。千鶴子はこの言葉を固く信じて毎日熱心に深呼吸を行った。十日ほど経ったある朝、彼女は何気なく庭前の梅樹を見て、その幹に長さ二分ほどの虫が数匹いると言い出した。家人が近づいて見ても虫は一匹もいない。しかし千鶴子はあくまで虫がいると言い張り、樹皮を剥ぎ去って検査すべきだと主張した。家人が言う通りにすると、果たして樹皮の下に数匹の虫がいた。これによって彼女の透視能力が初めて実証されたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。