鞘を捨てた小次郎と勝利の縁起
どんな伝承か
福来友吉が宮本武蔵の精神術の第二に挙げるのが、縁起を担ぐことである。小次郎は太刀を抜くと鞘を海へ投げ捨てた。武蔵はそれを見て足を止め、自分の勝ちの前触れと受け取り、勝つ気なら鞘を捨てるはずがないと言い放った。今の人は縁起などを迷信として退けるが、それは机上の議論にすぎないと福来は言う。命を懸けた場に立てば、人は決心を固めるために自然と縁起を語るようになる。その理屈が通っているかどうかは問題ではなく、信じて腹が据われば思い切って動ける。武蔵は『五輪書』で、役に立たぬことをするなと第一に説き、飾りを捨てて実を取った人であった。
原典より
* 第九 気合* 第十 正々堂々* **透視の研究**,* 第一 八人の通力者* 第二 御船千鶴子嬢の透視* 第三 長尾郁子夫人の透視* 第四 森竹鉄子嬢の透視* 第五 高橋貞子夫人の透視…—— 観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究)
『観念は生物なり』は、福来友吉が著した心理学と心霊研究の論集である。観念と身体の関係、潜在精神と病気、夢、プランセット(自動書記)、狐憑病の伝染や尼寺のヒステリー、宮本武蔵の剣道などを論じ、明治四十三年以来十年間に接した御船千鶴子・長尾郁子・三田光一ら八人の通力者の透視と念写の実験を報告する。「観念と身体この関係」から「生命学と心霊研究」までの十四篇を収める。