毛坊主が住んだ荘川のハカセガノ
どんな伝承か
岐阜県高山市荘川町岩瀬には、かつて「ハカセガノ」と呼ばれた土地があり、白川郷一帯を得意先の旦那場とする毛坊主たちが住んでいたと伝えられる。ハカセガノは「博士ヶ野」の意とみられる。ハカセは民間の陰陽師を指す呼び名で、蔑みの意味も帯びており、僧のいない山村では毛坊主として葬送を世話することが多かった。安倍晴明との結びつきこそ伝わっていないものの、六十キロほど南東にある長野県木曽町新開の「清博士」と同じ趣旨の小地名だと著者はみている。
原典より
安倍晴明の実像は、ほとんどわからない末裔の墓は実在する第13章 狐憑きと犬神―――いまもささやかれる俗信「結婚のとき問題になる」土佐の犬神筋犬神落としで知られる神社—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。