五箇山寿川の念仏道場とゴボさん
どんな伝承か
陰陽師の流れをくむ者は近代の村落にも残り、中部地方の山間では「ゴボさん」と呼ばれた。御坊さんの意で、正規の僧侶がいない地域で葬式や法事の世話をする役を務めた。富山県南砺市寿川もその一つで、集落には寺院代わりの「念仏道場」が、文政四年に完成したときの姿をほとんど変えずに保存されている。昭和四年生まれの男性は、葬式や法事の世話をしていたのは向かいのSさんで、ゴボさんと呼び、髪は剃らなかったと語った。五箇山では村ごとに道場とゴボさんがあったという。
原典より
第13章 狐憑きと犬神―――いまもささやかれる俗信「結婚のとき問題になる」土佐の犬神筋犬神落としで知られる神社遅くとも中世には語られていたおわりに—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。