高山近郊の国道から民家へ走る子グマ
どんな伝承か
平成二十六年九月、著者は岐阜県高山市清見町牧ヶ洞の国道158号で野生のクマを目撃した。ここは観光地の高山市街から西へ七、八キロしか離れておらず、近辺には人家もぽつぽつとある。午後遅く、高山から飛騨白川郷方面へ車を走らせていると、進行方向右手の道路わきを、車から逃げるように黒い動物が走っていた。初めは大型の犬かと思ったが、よく見たら真っ黒で太った子グマであった。そのクマは数秒後には、右手の農家らしい造りの家の方へ駆け込んでいったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。