久高島の後生山と十二年ごとの洗骨
どんな伝承か
伊波普猷は大正十二年の春、津堅島の南南西八キロほどにある久高島に数時間立ち寄り、島の北西岸にある後生山を訪ねた。そこで区長から聞いたところでは、夏の暑い盛りにはあたりがひどく臭って、とても近寄れないほどだという。洗骨は十二年に一度、島じゅう一斉に行い、棺や遺品はすべて焼き払い、骨はきれいに洗ってから共同の岩屋に納めた。著者はこれを、遺体を置いて白骨になるのを待つ段と、骨を墓に納める段の二つに分かれた葬り方とみて、前の段こそ古代の殯にあたると述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。