背をなでた柿の木坂の一ツ目
どんな伝承か
人間には心理的にも生理的にもいやな場所というものがあり、そこを通るとぞっとする、不快になるという土地がある。一ッ目の出るという場所として、東京の目黒区柿の木坂では、路ばたに一ッ目の像が立っている。ここは以前は何ということもなかったが、ある男がここを通ったところ背中をなでられ、はっとして後ろを見ると、一ツ目がじっとこちらを見て立っていた。この話がひろまるや、ここを通る者がいなくなったという。その後、ここに一ツ目の像を立てたといわれ、すると以後は出なくなったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
怪異雑考4-新妖異変(高橋敏弘・西郊民俗)
『怪異雑考4-新妖異変』は、高橋敏弘が『西郊民俗』に寄せた連載「怪異雑考」の第四回で、副題を「新・妖異変」とする小論である。山形県置賜地方でカエルの方言ガイラゴの名で呼ばれる三種の妖怪、山形市の黒沢温泉に十二月八日と三十日に現れて餅を取っていく一つ目、最上郡大蔵村の家で続くポルターガイストを取り上げる。南陽市和田・下萩などの地名と方言の呼び名を添えて事例を並べる、短い報告である。