付知の河原に並んでは消える狐火
どんな伝承か
筆者が郷里の岐阜県恵那郡付知町で少年時代に見た狐火の話。小雨の秋の暗い夜、狐火がよく出ると言われる川東の河原に、まず黄色い灯が一つともると、左右へ同じ間隔でぱっぱっと灯が並び、しばらくすると両端から消えて真っ暗になる。次にまた両端から中心へ向かって灯り、ちらちらと並ぶ。これを規則正しく繰り返したという。昭和十二年に郷里から上京した人も、今も夜明けまで河原にちらちらしていると言い、雨の翌日に向こうの山に時々現れるとも聞いた。筆者は昭和二十九年にも郷里の暗い道で、屋根の高さを青白い光がゆらゆら飛ぶのを家の者と見て、人魂だと叫んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。