野宿の夜に呼びかける妖怪音助
どんな伝承か
屋久島の山男、佐々木吹義は昭和二十五年ごろ、兄と義兄の三人で烏帽子岳と七五岳の間にあるアラケのミノオへ登り、たき火を囲んで野宿した。夜十一時を過ぎて一人で粥を炊いていると、遠くからおーいと呼ぶ声がする。道に迷った者かと思って大声で応じると、兄たちが起き出し、あれは山の妖怪の音助だから返事をするなと止めた。音助は遭難者のふりをして山男を呼び寄せ、崖へ誘い込むという。うるさいので火を投げつけると、声はかえって近づき、周りの林を揺さぶって騒ぎ、三人は一睡もできなかった。日が昇ると、声も物音もぴたりとやんだという。
原典より
音助は、山小屋に寝泊まりしていたり、野宿している山男を見かけると、声をかけてくる。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。