新幹線の前を横切った白い服の少女
どんな伝承か
昭和四十四年六月二十三日、東海道新幹線東京運転所の高田光男運転士(三三)は『こだま一五一号』に乗務していた。京都駅を午後九時十八分に発車し、二分の遅れを取り戻そうと一六〇キロで走っていた。東京から四九六・八キロ地点にさしかかったとき、五〇メートル前方で線路を横切ろうとする女の姿を発見した。急制動をかけ、列車は火花を散らして二・一キロ先で停止した。人身事故として報告したが、現場を二〇〇〇メートルにわたり点検しても異常なく、車体を調べても異常なしだった。高田運転士は、白いブラウスに白いスカート姿の小学校高学年ほどの少女で見違えるはずはないと断言し、やはり亡霊かと結ぶ。
原典より
五〇メートル前方という至近距離で、無暴にも線路を横切ろうとする女の姿を発見したのであった。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。