祇園の女将に憑いた三人の霊
どんな伝承か
著者が能勢の妙滝寺を訪れたとき、ちょうど参籠していた三十三歳の美人がいた。祇園で芸妓置屋を経営する淀島早苗で、腸結核にかかって病院を転々とし五回も手術を受けたが治らず、人伝てに妙滝寺のことを聞いて来たという。行を積むと、なんと三人もの霊が乗り移っていた。最初に出て来たのは、芸妓時代に通いつめ、離婚を迫って家業を左前にし倒産したガラス問屋の社長Sの生霊。二人目は水揚げを口実に貢がせ財産を食い潰させたヤクザの親分の怨霊。三人目はSに見捨てられ悲観して自殺した妻の生死霊で、この霊が尼になるという早苗をどうしても許さず、まだ行を続けているという。
原典より
行を積むと、なんと三人もの霊が乗り移っていたのである。—— 現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。