宿便を癌と偽った教祖の霊験
どんな伝承か
難病も死病もたちどころに治すと称する教祖が、著者の実験室へやってきた。神おろしの神具は白い羽二重をかけた箱で、霊がかかると上から光がのぼるというが、いくら睨んでも何も見えない。折よく階段から落ちて向こう脛を内出血させた娘が手当てを受け、一時間ほどで痛みも腫れも引いたが、時間の経過からいって不思議はない。それを見て信じ込んだホテルの支配人は、のちにこの教祖へ結婚式の費用七、八万円を踏み倒された。教祖が肝臓癌を全治させたという老婆を調べたところ、宿便が下りただけだと医師に証明されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。