法華の合唱で神がかる女たち
どんな伝承か
婦人だけで営まれるJ教団の一行が、修法を見てほしいと五人で著者の家へ押しかけた。教祖は四十五、六の堂々とした体格の婦人で、法華経に通じ、経文の説明をひとくさり述べてから修法を始めた。二十代後半から三十くらいの女たちが一列に座り、南無妙法蓮華経を一斉に唱えると、細い声は自然に三つの声部へ分かれ、高く低く絡み合う合唱になった。やがて座ったまま様々な姿をとり、踊りとも身振りともつかぬ律動をしながら興奮していく。教祖は脇からその手足の形を見て吉凶を占うのだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・1955年(昭和30年))
『私の心霊術』は、長田幹彦が昭和三十年に著した心霊研究の随筆集である。死後に残る霊や地獄・極楽をめぐる考えを述べ、熊本の家系や安達謙蔵との交わり、東京放送局の文芸顧問だったころの回想、霊友会など戦後の新興宗教への批判、前著『霊界』への反響と自らの信仰を語る。「心霊科学の来世観」「霊界の構造」「ぼくの信仰」などの章からなり、末章「ある霊媒の生態」では霊媒服部との実験とそのトリックの顛末を描く。