腕を折られた将棋倒しの死骸
どんな伝承か
深川の焼け跡で、こんなに無残な姿にならなくても何とか逃げようがあったろうにねえ、と沢田正二郎はとうとう泣き出してしまった。これに対して著者は、わっと度を失えば女だって男だってみんなモップになってしまうのだから、一人や二人が抑えたところでかなうものではないと答えた。向こうの角のところに固まっている死骸はみな踏み殺されたものだ、その証拠にみんな腕を折られたり肋骨が飛び出しているではないか、という。沢田は、日本人はもっと災害時の訓練をしておかなければ今にもっとひどいことが起きますねと、両腕をこまねいて溜息をついていた。その生真面目な顔が忘れられないと著者は書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私の心霊術(長田幹彦・昭和中期(1940年代~1950年代推定))
幼少期の地獄極楽のぞきからくり(私の心霊術)/心霊術と降霊の実演/作家長田幹彦の心霊体験/交霊と幽霊との接触/明治〜昭和の心霊文化