京都御所ですれ違った亡父
どんな伝承か
著者は父を京都に招いたが、駅に降り立ったのは母ひとりだった。翌日、北嵯峨をまわった帰りに京都御所へ立ち寄り、紫宸殿から長廊下を小御所の方へ曲がったところで、衝立の陰から背広姿の父が前かがみに歩いてくるのを見た。名を呼んで駆け寄ったが、どこにも似た姿さえない。母はそこで、父が見舞いに向かう途中、新橋駅のホームで倒れたことを明かした。数日後の暁方、著者は白木の神輿が石段を駆け上がり真っ逆さまに崩れ落ちる夢を見る。ちょうどその時刻に父は狭心症で息を引き取っていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。