老女中と連れ立つぽんたの霊
どんな伝承か
ぽんたの霊を見るようになってから著者を最も深く動かしたのは、霊界における時間の経過の問題であった。父の霊はいつも同じ姿で現れる観念的な存在だったが、ぽんたはそうではなく、現れるときには何らかの因縁的な条件が加わってくる。生前ぽんたが慕っていた老女中のおえんと一緒に来ることがあり、おえんに聞くとこのごろよくぽんたの夢を見る、ふいに思い出すこともしきりだという。おえんが月に何度か浅草の観音へ参ると、ぽんたも同じように参り、仲見世で出会ったこともよくあった。梅園で一緒にしる粉を食べたこともある。仲せいという天ぷら屋では、主人も番の女中も下足番も、おえんが客と二人連れで上がって海老と銀宝を食べたと証言した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。