船べりを越えて船を沈めるジンベイサマ
どんな伝承か
海の怪といわれるものには各地にさまざまな型がある。壱岐の島の海上には、腹の白い両側に四肢があって船に吸いついて止め、あるいは綱を伝って船内に入りこんでは人を食うという怪魚フナシトギ。島根の温泉津には、海に投影した船夫の影を呑んでその船夫を死に至らせるカゲワニやウシオニ。金華山沖には、蛇に似た形で際限もなく船べりを越して行き、末にはその油がこりかたまって船を沈めるというジンベイサマがいる。ほかに佐渡のタテエボシやウミカブロ、土佐のジャン、宮城県の亡霊火などが知られる。著者は、こうした海の怪もまた水神信仰の零落にほかならず、有名な船幽霊系の経験も不運な死者の霊魂の顕現にほかならないと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の生活と迷信(今野圓輔・森秀男・今野圓輔・民俗学・昭和(調査))
民俗学者・今野圓輔と森秀男による、戦後日本の迷信を全国調査と民俗学で体系化した研究書。前半は迷信の分類と二度にわたる全国調査の統計を示し、男女・老若・学歴・地域・職業・病弱の別で迷信の浸透度を分析、医薬を全く使わず神仏まじないに頼る人の割合や民間医術・魔法医術の実態を明らかにする。