出初式のあとに掲げた火の用心の大ダルマ
どんな伝承か
ことしの正月、秋田県本荘市の消防団員八〇〇人が、一二台の消防自動車で出初式をやったあと、公会堂の玄関上に「火の用心」と記した大ダルマを飾った。新聞には「消防団も市民も不退転の決意をもって火災予防に当たることを誓って」とある。著者は同じころ、福島県須賀川警察署に市民から目なしダルマが贈られたことや、群馬県高崎署で全署員一六〇人が一筆ずつ黒目を入れてホールの棚に安置したことを並べ、ダルマがただの縁起物からしだいに呪物化への歴史をたどりそうだと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。