出初式のあとに掲げた火の用心の大ダルマ
どんな伝承か
ことしの正月、秋田県本荘市の消防団員八〇〇人が、一二台の消防自動車で出初式をやったあと、公会堂の玄関上に「火の用心」と記した大ダルマを飾った。新聞には「消防団も市民も不退転の決意をもって火災予防に当たることを誓って」とある。著者は同じころ、福島県須賀川警察署に市民から目なしダルマが贈られたことや、群馬県高崎署で全署員一六〇人が一筆ずつ黒目を入れてホールの棚に安置したことを並べ、ダルマがただの縁起物からしだいに呪物化への歴史をたどりそうだと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。