浪人と女を呑んだ想思淵の水の怪
どんな伝承か
昔、若者たちが道造りに出ていると、脇指をさした浪人者が来て、何とか食べ物を恵んでほしいと言った。若者たちは食べ物はあるがその脇指を見せてくれと言い、立派な脇指を取りあげたまま返すのが惜しくなって、皆で浪人を殺そうとした。後ろから羽交い締めにし、縄をかけて追い立て、淵に投げ込んだ。一緒に道造りに来ていたオウメという女がやめてくれと叫んだが、聞き入れられなかった。オウメはその淵に通って泣き、ついに身を投げた。以来、川で木出しをする筏乗りが来ると足を引っ張って引き込むようになったので、山の神を建てて祀ったところ、そうしたことはなくなった。そこを想思淵というようになったという。
原典より
ずーっと、昔に、若者達が道造りに出て居だそうです。—— 本荘市史 文化・民俗編(現代(市史民俗編)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
本荘市史 文化・民俗編(現代(市史民俗編))
秋田県本荘市の伝説。竜馬山の主に足どめの法をかけた赤足止めの杉、船に害をなす虚空蔵山の手長・足長、吹雪で死んだ恋人を弔う大死人沢・小死人沢、伊勢参りの帰りに拾われ太り続けて家を富ませる熊野神社の神石、脇指目当てに殺された浪人とオウメの身投げの想思淵、弘法に水を断った罰で水の出ぬ弘法清水、龍神に通われ蛇を産んだかれい沼の女、人柱になったおから地蔵など、神石・水の怪・人柱・霊験の伝説を収める市史民俗編。