裸祭の神男は全身の毛を剃りこもる
どんな伝承か
愛知県稲沢の国府宮神社で二月九日に行われる裸祭では、神男に選ばれた男が祭の三日前から、頭髪はもちろん体じゅうの毛をすべて剃り落とされる。六日の夕方に毛を剃られて白衣に着替えると儺追殿にこもり、祭の当日まで境内から一歩も外へ出ない。著者は、このように特定の代表者が精進屋や参籠所にこもって俗世と交わりを断つことを忌籠と呼び、古くは氏子全員が祭の前にこうした精進の暮らしを送るのが普通だったろうという萩原竜夫の見方を紹介している。
原典より
同社のハダカ祭は二月九日だが、六日の夕方から毛を剃られ白衣に着換えて、儺追(ついな)殿に閉じこもり、境内から外へは一歩も出ないで祭を迎える。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。