デベヤ友だちと呼び合う島
どんな伝承か
観音寺の沖、燧灘に浮かぶ伊吹島には伊吹産院がある。建物が新しくなったのは昭和八年で、それ以前は掘立小屋のデベヤ、すなわち出部屋だった。今もそのデベヤで産んだ老女が大勢健在なので、島では産院よりデベヤの名のほうが通りがよい。産婦は出産の前後ひと月をここで過ごす。同じ時期に合宿のように寝起きした者どうしはデベヤ友だちと呼び合い、生涯にわたって親類に準じる付き合いを続けるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。