市房山猟師の狩の唱え言
どんな伝承か
柳田国男は十七、八年前、九州南部の市房山の麓の村に入り、一巻の狩の伝書を見た。そこには、大満・小満という二人の猟師が山に入ると子を産んだばかりの女が食物を乞い、一人は血の忌みを畏れて拒み、他の一人は快く承諾したという唱え言が残っていた。山の神が女性であり山で子を産むという信仰を示す例として紹介されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。