災厄を払うカラス団扇
どんな伝承か
府中市の大国魂神社で行われるスモモ祭では、カラス団扇が配られる。祭の名は、七月二十日の例祭にスモモと栗飯を供え、これをいただくと夏病みしないというところから出たもので、境内ではスモモやモモの実が売られた。カラス団扇は真っ黒なカラスを一羽描いた団扇で、抜け目のない商人は扇子まで売り出した。軒に吊るす家もあり、これで家じゅうをあおげば災厄や疫病を追い払え、田畑をあおげば害虫がつかないと信じる人が多い。発行枚数は一年で三万本から五万本にのぼった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。