家運を託して奉納する藁馬の駒祭
どんな伝承か
長野市の桐原牧神社では、三月八日に駒祭が行われる。竜馬の伝説が祭の起こりとされ、藁で小さな馬をこしらえ、それぞれの家の運をこの馬に託して神前に奉納する。本来の藁馬は素朴なもので、赤飯を入れた苞を三本とさい銭を積み、上に幣束を立てて供えたもので、神事が終わると参拝者にくじ引きで分け与えていた。ところが近ごろは氏子よりも見物客が多くなり、祭そのものよりミゴで作った馬が評判を呼んで、観光土産として飛ぶように売れる有様だという。郷土玩具に古い呪物の名残りが見える一例として紹介されている。
原典より
たとえば竜馬の伝説が祭の由来になっている長野市桐原牧神社で三月八日におこなう駒祭などでも、新薬で小さい 馬を作って、めいめいの家運をこの馬に託して奉納するのだが、…—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。