橋を呑み馬を銚子に入れる妖術使い
どんな伝承か
秋田の仙北郡六郷のブン王は妖術使いと噂された。そのブン王が大橋を一呑みにするという風評が立ち、人びとが集まって橋を眺めていると、ブン王がぶらりと姿を見せ、たもとに立って橋を呑みはじめた。木の上で見物していた喜助が、呑んでいるのではない、橋の上を歩いているだけだと叫ぶと、ブン王が木の肌に触れただけで木が揺れ、喜助は振り落とされた。ブン王は宿場の赤提灯の店に入り、酔って騒ぐ馬方たちを咎めて、店先につながれた十頭の馬の尻尾をつかんでは小さくし、銚子に入れて一口に呑み干した。馬方が詫びると外で銚子を振って馬を元に戻した。あとをつけた者は、ブン王が寺の墓地あたりで消えたと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承