柱に打ちつけられた猿の手の魔よけ
どんな伝承か
河北新報の足立記者は、岩手県九戸郡大野村の久慈街道筋でつい昨年に猿の手を見たと記している。街道に面した柱に猿の手首を打ちつけた家があり、干からびてはいるが毛むくじゃらな五本の指もそのままで、山里らしい無気味さを漂わせていたという。先祖伝来の魔よけだそうである。著者はこれを、目鼻を刻んだ木の人形を正月に母屋の入り口へ立てる関東のオッカドボウや門入道、針供養の二月八日に魚のフグを軒先に吊るして一年中の魔よけとする兵庫県美方郡浜坂町の例と並べ、家の出入り口に呪物を掲げる魔よけの一つとして紹介している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。