二又の桑に止まった姫と馬の皮
どんな伝承か
ある豪家に一人の姫がいた。数ある馬の中にせんだん栗毛という名馬があり、その馬が病気になった。家僕が馬糧を与えても食わず、姫の差し入れた秣だけを食い始めた。やがて姫と馬は毎夜丑の刻に廃屋で会うようになり、それが家人に知れて主人夫婦に告げられた。主人は怒って馬を野原に引き出して殺し、その皮を垣根にかけた。姫は通い続けて十六日目、せめて殺された所だけでも見たいと野原へ行くと、馬の皮が垣根にかけてあった。その皮が突然姫の体を包んで空へ上り、ある山畑の二又の桑の木に止まった。それゆえ二又の桑は神の宿る木で伐るものではなく、オシラサマもこの桑の根際に祭るという。姫は蚕に生まれ変わったのだと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。