馬の皮に包まれて天へ昇った娘
どんな伝承か
昔、ある村の美しい娘が、家で飼っていたせんだん栗毛という馬をことのほか可愛がるうち、馬に恋わずらいをするようになり、馬も同じであった。娘と馬はついに夫婦になる。親がいくら意見しても聞き入れないので、親はある日その馬を川原へ連れ出して打ち殺し、皮を持ち帰って家の稲架に干した。その一瞬、大きな風が吹き荒れ、皮は飛んで娘をぐるりとくるみ込み、天高く舞い上がった。娘は驚く両親に、会いたければ毎年三月十六日に桑の木へ来てくれと言い残した。その日、桑の木の下で待っていると娘は舞い降りて来たが、食う物も馬の食い物、物言うのも馬の鳴き方に変わっていた。親は娘を憐れんで諦めたという。
原典より
昔むかし、ある村に一人の美しい娘があったと。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。