乳の出を願う長円寺の乳泉石
どんな伝承か
乳の出を願う信仰は各地にあり、乳房をかたどった品を供えたり、乳房に似たコブをもつ銀杏を拝んだりしてきた。東京では千住の長円寺にある石がそれで、武蔵風土記稿は、この寺に乳泉石という石があり、削り取った粉が乳の出る呪符になると記している。同じ願をかける先としては、福島の乳石大明神、京都の乳石、北海道の乳房石などが知られる。柳亭種彦の乳の露に出る乳銀杏も名高い。母乳の足りない女たちは、石の粉や樹皮にすがってでも子を育てようとしたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。