オシラ神のお告げによる殺傷
どんな伝承か
本書は殺人にまで至った信仰事件を並べたなかに、昭和二十八年三月、青森県東津軽郡高田村で神兼次郎がオシラ神のお告げを信じて息子夫婦を殺傷した「オシラ神殺人事件」を挙げている。同じ一覧には、同年八月に群馬県多野郡で疫痢の子の手あてを拒んで死亡させた事件、京都の茶屋で娘に汚れた空気を吸わせまいと絞殺した実行教信者の事件、大阪府南河内郡で女祈禱師が神託によって農薬を信者の口から注いで殺した事件などが並ぶ。著者はこれらを、最近数年間のとぼしいメモを拾ったにすぎないと断っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。