人工栄養を拒んだ母の栄養失調死
どんな伝承か
昭和三十三年二月、四日市で母乳の出ない母親が、人工栄養を与えることは神の怒りに触れると信じ込み、子どもの一人を栄養失調で死なせてしまう事件が起きた。これは当時各地で相次いだ新興宗教がらみの事件のひとつとして記録されており、同様の例として青森県のオシラ神殺人事件や、京都のお茶屋での絞殺事件などが挙げられている。新興宗教にのめり込んだ信者の精神分析によれば、患者の多くは内気で同情深く、暗示を受けやすい性質を持つ中年女性が大半を占めていたという。
原典より
昭和三三年二月、四日市で母乳の出ない母親が人工栄養は神の怒りにふれると、そのひとりを栄養失調で死亡させた××会事件。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。