縁日の夜にてまりをつく二体の仏
どんな伝承か
京出の寺は長竜山京安寺といい、今は無住で青津の浄泉寺の住職が兼ねている。村南には観音堂があり、もとは本尊のみを安置する小さな堂であったが、現在の御堂は嘉永六年に新たに建てられたもので、棟板には当時の村人や大工の住所氏名が詳しく書き残されている。堂の中には本尊の聖観世音菩薩と脇士があり、この脇士は御賓頭瑠様といわれ、大変に美しい御方で知られる。村の老人の話では、この御賓頭瑠様は中目村の経塚の側にある地蔵と大変に仲がよく、御縁日には必ず堂の外に出て、夜が深々と更けるころ、二体の仏が面白おかしくてまりをついて遊びに興ずるという。昔は度々その姿を見た人もあったと語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。