餅搗きの日を慎む身祝い
どんな伝承か
島根県の鹿足郡では、師走三十日の餅搗きの日を身祝いと呼んで言葉や振る舞いを慎み、その日に搗いた大きな塗り餅を神仏に供えて親類に配る。石見地方の人が寄せた経験談でも、暮れに正月の餅を搗く日を身祝いといい、この日によくないことがあると翌年一年じゅうよくないので、腹を立てたり喧嘩をしたりせず、家族みなで朗らかに過ごさねばならないとされた。大きな塗り餅を隣近所や親類へ配り、餅搗きに変わったことが起きると凶事の知らせだともいわれたという。
原典より
島根県鹿足郡では、師走三十日の餅搗きの日を身祝いといって言行を慎み、その日に搗いた大きな塗餅を神仏に供えて親類に配る。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。