患者の米のとぎ汁を子に塗る疱瘡よけ
どんな伝承か
岐阜県吉城郡上宝村(現・高山市上宝町)では、昔は早く疱瘡にかかると軽くてすむといい、子供が小さいときに疱瘡患者の所へ行って、顔を洗った米のとぎ汁をもらってきて、まだかかっていない子供の顔に塗った。著者は、かさぶたを落とすための民間療法として米のとぎ汁が近世から利用されていたことに触れ、疱瘡神迎えと称してそれを患者の家からもらってきて顔に塗るのは、疱瘡神の団子をもらってくるといった呪術的行為とは異なる現実的行為であると述べている。
原典より
昔は早く疱瘡にかかると軽くてすむといい、子供が小さいときに疱瘡患者の所へ行って顔を洗った米のとぎ汁をもらってきて、まだかかっていない子供の顔に塗った。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。