道端に供えるヤクジンガミの餅
どんな伝承か
十二月二十日をヤクジンガミといい、オハギ餅を搗いて藁の苞に二個包み、道端に供えた。道端は厄神の通る所で、門口や戸窓に供える意識と共通しており、供え物をする祭場として本源的なものといえる。この日の餅は、帰る客には福を持って行かれるといって食べさせず、泊まる客にだけ食べさせたという。追い祓うべき厄神への供え物でありながら、災い転じて福となすように、祀ることで福神的な作用を期待する意識もうかがえる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に著した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と各地の採訪記録の事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、五章は書き下ろしで、章ごとに注を付す。