屁で梨の木を倒した嫁
どんな伝承か
貧しい母子の家に隣村から嫁が来たが、毎日青い顔をしている。訳を聞くと屁が出たくてならぬという。姑が遠慮するなと言うと、嫁は姑を庭の臼につかまらせ、大きな屁をひって臼ごと馬舎の桁まで吹き上げ、大怪我をさせた。息子が里へ返そうと送る途中、梨の実が取れずにいる駄賃づけの者たちと賭をし、嫁は屁で梨の木を根こそぎ吹き倒して馬と荷二十一駄を得た。息子はこんな宝女房を返せぬと連れ戻り、屁をひるための小部屋を作った。それが部屋の起源だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。