山の神に山幸を授かった狩人磐司
どんな伝承か
陸中国閉伊郡附馬牛村字生出という山里に、万治と磐司という二人の狩人がいた。万治は名人で獲物も多かったが、磐司は下手で、終日山を歩いても獲物のない日があった。ある日、万治が狩山へ行く途中、産をして苦しむ女に助けを乞われたが、狩人は産の穢れを忌むので断って山へ行った。後から通った磐司は嫌な顔もせず介抱し、十二人の子を産ませた。女は山の神で、磐司に山幸を授け、山でその名を三度唱えれば獲物があると告げた。以来、狩人は十二月十二日を祭日兼忌日とするようになったという。生出は早池峰山の麓の部落である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。