仮面で渡り合った箕の姿の大菌
どんな伝承か
無頼者が生計に困り、町で多くの仮面を買って売り歩いていた。ある村で日が暮れ、隣の空家に泊まることになった。炉端で仮面を並べていると、座敷からミシリミシリと足音がして、一間いっぱいを塞ぐような大きな顔の物が覗き込み、そこに人間がいるかと言った。男はとっさに仮面を取って顔に当てて向き直り、次々に面を替えて相手をした。翌朝、村人を集めて味噌の澄汁や塩水を煮させ、家中を探すと、奥座敷の床柱に大きな箕が寄り立って鼾をかいていた。澄汁と塩水を浴びせるともがもがと大きくなり、正体は巨大な菌であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。