無人島に置き去られた人買
どんな伝承か
貧しい家が九つになる娘を他国へ売って暮らしを立てていた。娘が親恋しさに泣いてばかりいるので、主人が暇をやり、娘は故郷へ向かった。あと一日という港町の旅籠に泊まると、そこに人買船の主が泊まり合わせ、宿の主人と娘の値を七十両と談じるのを娘は隣室で聞いてしまう。翌朝、宿の主人は郷里へ行く船があると偽って娘を乗せ、船は沖へ出た。夕暮れに無人の島へ寄せると、船主が綱を持って先に陸へ跳び上がったところで、宿の主人はいきなり脇差で綱を断ち切り、船を沖へ漕ぎ返した。人買はその島に置き去りにされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。