味噌桶に逆さに埋められた継娘
どんな伝承か
旅人がある村に着くと、まだ夕方の早い時刻なのに家々は外戸を閉ざし静まり返っていた。村端の家に泊まった夜半、戸外で何かが戸板を叩き爪で掻きながら開けてくれと嘆く。節穴から覗くと、大きな双角をささえた小丈の化物である。訳を問うと、自分はこの家の継娘で、いま寝ている継母に味噌桶へ逆さに生き埋めにされ、屍が逆さのままなので両脚を上にして歩き、仏道にも浮かばれぬと言う。旅人が戸を少し開けると化物は飛び込んで継母の咽喉笛に噛みついて殺した。裏手の味噌桶から逆さの屍を取り出し、村人と語らって墓場に厚く葬ってやると、以来その化物は村に出なくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。