峠の骸骨が踊って訴えた殺害
どんな伝承か
上七兵衛と下七兵衛という仲のよい朋輩が他国へ稼ぎに出た。下七兵衛は金を貯めたが、上七兵衛はならず者の仲間に入って身を持ち崩し、帰郷の折には着物も旅費も下七兵衛に用立ててもらった。ところが上七兵衛は国境の峠で下七兵衛を斬り殺して金を奪い、知らぬ顔で帰った。のちに再び旅に出て同じ峠にかかると名を呼ぶ声がし、藪蔭に骸骨が白歯をむいて笑っていた。骸骨は身の上を明かし、踊りで稼がせてやると持ちかける。骸骨踊りは町々村々で評判となり城に呼ばれたが、殿様の前では踊らず、起き上がって殺害の一部始終を訴えた。上七兵衛は縄を打たれ、詮議の末に磔にされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。